ジャンクと電子工作

電源回路はいい案が思いついたのでちょっと部品を買い足し最後の実験が完了,Releaseはまとめ中な感じですが,その間にジャンクコーナーから拾い出してきた部品の話でも。

合わせて少しジャンクの与太話を少し書いていこうかと思います。


~今回拾い出した物~


とある日,ジャンク品コーナーのオーディオコーナーを通りかかった際,こんな光景に出くわしました。



誰かが昔買った部品の在庫整理でもしたのか?大量のスピーカーのユニットが。

オーディオの工作が好きな人には宝の山に見えるかもしれませんね。

かく言う私もスピーカーを作りますから,「ぉお!?」とついつい覗いてしまいました(苦笑


見てみるとFostexのFEが多く,PシリーズやPWシリーズも。

更に言うとほとんどが8cmのユニットでした。元の主は8cmのユニットのエンクロージャーにスピーカーを入れ替えながら楽しんでいた方なのかもしれません。

全体的にFE83が多く,中にはFE83-Enの箱の「En」を消し「中身は初代FE83」と記載されている物も。

ほとんどFE83ではあったのですが,それをFE83-Enに更新し,古いユニットを手放したのかもしれません。FE83Enはここにはなかったので,主の手元にあるようです。

これほどの数量のFE83が出てきていることから,よほどFE83が気に入ってたようです。それを上回ったFE83-En・・・ちょっと気になる存在です。


その他,製作例にはあまり名前が上がってこないFE87もありました。防磁型のユニットだそうです。

という事は,テレビがまだブラウン管だった頃の製品です。少し調べてみたら1991年には販売されていたようでした。

そもそも初代FE83が1970年代中頃にはすでにあったようで,何れも古い機種です。

世代的に年配の方が手放したように感じます。


さて,何だかユニットが山積みだったわけですが,私はその中から・・・



Stereo誌の付録にあったPioneerのOMP-600と・・・



FE83を1セット購入する事にしました。

こちらは「エッジはもう駄目だろうな~」という前提での購入です。


開けてみると・・・



おっと,これは個人的にはちょっと想定外なパターン。芯となっている布は残ってくれていました。

これならエッジにとなる材質をぬって直すという方法が取れそうです。

ちょっと調べてみたら水性の液体ゴムという物があるようで,実際塗って直している人が居ました。刷毛で塗れて乾くとゴムになるという物だそうで,平筆でちょいと塗ったら治せそうです。

ただ,個人的には水性なことが気になります。自分なりにも材料は探してみようと思います。


え?音が変わっちゃうんじゃないか?って?

恐らく変わってしまいますが,ダメな前提で補修して使うつもりでの購入ですからのそれは想定内です。

その上での購入ですから,そこは承知です。

先に書いた通り1970年代からある製品との事ですから,タイムマシンで時間を巻き戻しでもしない限り新品を手に入れることはできません。

使えない状態から使える状態に,その中で可能な限り元の性能に戻ってくれれば御の字です。


因みにこの状態で裸で鳴らすと・・・「あぁ,これなら好き」と。これなら直しがいがありそうです。

個人的に特性表よりFE83-SolやFE83-Enはあまり好きではなく。FE83-NVは好きなのですが。

初代FE83,女性ボーカルを鳴らすといいという話を見かけましたが,確かに,そんな雰囲気の音です。

これはちょっと・・・楽しみかも?


さて,もう一方,OMP-600はというと・・・




何と,こんな小さなユニット。

裸で鳴らしてみましたが,確かに低音にパワーはあります。ただ,やや演出気味かな?といった感じです。

とはいえ,この小さなユニットでこの音は驚き。こちらも面白そうです。


実はコレ,欲しかったのですがうっかり買いそびれてしまい。ちょっとラッキーだったな,と。

折角小さいユニットなので,エンクロージャーもうまく小さく作りたいなぁ・・・


~時折見かけるちょっと怖いジャンク~


ここから少し与太話。

先にちょっとプロファイリング的な文章を書いていますが,時折,あまりにも元のオーナーの趣味というか,思念の強すぎるジャンクに出会う事があります。


これはカメラでも見かける光景です。

ある日,レンズとボディーの中古ないしジャンクがまとまって増えており,それがある一定の法則性を持っていることがあります。


例えば,私であれば,小型の物が好きなため,性能だけ求めて大型のレンズやボディーを買うという事がありません。

そんな私が歳を取り,虹の橋のふもとで待っているであろう,かつての飼い犬の元へ行ったとしましょう。

あ,念のため・・・多分走り回ってると思います。待つとかそういう犬ではありません。だが,そこがいい。


すると,小型のボディーに小型のレンズ,コンパクト機が一斉にショウケースの中に並ぶでしょう。

「小型」という一つの法則性を持ったカメラシステムたちが並ぶ事になります。


今回もそのパターンでは?と思って一瞬ドキッとしたんです。

しかし,FE83Enと比較的新しいユニットの箱があり,何か違うっぽいな,と。

つい最近弄ってる,と言うことになりますから。


今回は良かったものの,時折ジャンクに不気味さを感じるというのはホンネです(苦笑


~ジャンクをなぜ買うのか?~


さて,ジャンクは言ってしまえば「ガラクタ」です。英単語としてもそのような意味です。

それを何故買うのか?という疑問についてもいくらか。まぁ,よくありがちな話ですね(笑

そんな話もちょっとしてみようかと。


今回はジャンクからスピーカーのユニットを拾い出してきていますが,その中でFE83はダメ元で買った,予想通りだったと書いています。それって意味がるのか?という疑問はだれしも沸く物。

幾多の人がこの疑問に対し「これが答えだ!」と書いてきましたが,果たしてこのブログの主の答えとは・・・


行きます。


そんなもん目的による。


そりゃ,真にFE83の音が知りたかったらジャンクでは買いません。

ちゃんと中身が展示されている中古を最終的に状態を確認させてもらってから購入します。

FE83では流石にいい物はもう残ってないでしょうけどね。

さらに,まだ製造している機種,FE83NV2等であれば新品で買うでしょう。


このように,そもそも状態を求めていたらジャンクでは買いません。

ジャンクを買うときは,まず目的が違います。

ではその中から「これは買おう」と思う理由は何?と言われれば・・・


正直理由は様々。


・・・まぁ,当然ですわね。「物を買う」っていろんな理由がありますから。


何か自分が使っている物があって,それが故障したからと部品を探している場合もあります。

古い機種だとすでに部品の生産が終わっている場合があり,ほかの部分が壊れているけど修理に使いたい部分はまだ使える,というジャンクを探していることもあります。

これは意図してジャンクの中から探しているパターンです。私は2番目にこれが多いですね。特にバイクで多いです。

バイクに関して言えば,部品取り用にもう一台バイクを買ってしまう人がいますが,そんな感じ真もしれません。


他には,状態がそう悪くなく直せそうな物の中に,ちょうど欲しかった物があったから,と買う事もあります。私はこれが一番多いかな?

こちらは探していたわけではなく,ちょうど良かったからかと買うパターン,たまたまいい物に出会ったというパターンですね。


後は材料として購入してるパターンもあります。

典型的なのはケーブル類です。例えば実験的な回路でUSBから電源を取りたいとして,電源を取るために買った物なので切ってしまう事がわかり切っている状況などです。

切ってしまうとわかり切っているのに新品を買うのは気が引けます。まだピカピカなのに切っちゃうんですから。

まして,条件に「実験的な回路」と書いていますが,その後実用として使うかもわかりません。なおの事「いったん実験の用の材料が欲しいな・・・実験だからボロでいいんだけど」となってしまいます。

そんな時はジャンクから拾い出すことがあります。


他には何かあるかというと・・・先の部品探しに近いですが,いい部品が入ってると知っていて中身目当てで買う事もありますね。

こちらは差し迫って何か直すわけではないですが,将来使いたくなるかもしれない,というパターン。


それに似ているのだと,見たらたまたまいい部品が付いていた,値段を見たらそれだけで価値がある,と買うパターンもあります。

基盤や部品がゴロリと置かれていてよく見たら・・・という場合なので,このパターンは少ないですね。

秋葉原のジャンク屋さんなどで時折あるぐらいです。


後は単純にそれに興味がわいたから,というパターンもあります。今回のFE83はこれが近いかな?

こういう時はホントに面白半分ですね。今回の記事としてはこれが本題かな?


「多分エッジダメだろうな~」「でも時代的に硬化してるだけかな?それなら直し方知ってるんだよな」「修理品と言えども,元の雰囲気位は味わえるよな」「FE83ってみんな好きだよね,どんな物なんだろう?」・・・な~んてことを考えながら今回は購入しています。

そして先に書いた通り,エッジがスケスケになっていたわけです。

そこも「あー!こうなってるの見たことある!こっちのタイプか!」「確かこれも直してる人を見たことあるぞ・・・」「なんか塗っちゃえばいいんだよな,みんな何塗ってるんだろう?」「修理してる人ご用達のこの製品,アクリル系か・・・なんか油性のないのかな?」・・・な~んて調べた次第です。


こんな風に「ちょっと面白そう」と購入することもあります。

これが私は3番目に多いですね。


・・・等々と書いてきましたが,これ実は単純な話で。


遊びと言ったら何を考えるでしょう?


野球やサッカーなどのスポーツ?登山などのアウトドア?園芸や手芸?ビデオゲーム?

私たち「ジャンクを買う人」は,それが「ジャンク弄り」なだけなんですね。


「ジャンクを何で買うの?」という質問は,どこか「なんでスポーツをするの?」と同意なのですね。


~ジャンクと電子工作~


さて,ジャンクに関する与太話を書いてきましたが,個人的に電子工作ではジャンクという物は関わりが深く,ジャンク弄りは勉強になると思っています。

先に書いたように,部品としてのジャンクという側面や,遊びとしてのジャンク,装置の修理としてのジャンクという側面があるためです。


部品としてジャンクを手した場合,型式などでデータが手に入る部品はいいのですが,多くはデータが手に入りません。自分で解析することになります。

そのため,素材を分析する力につながります。

その他,安価に素材を手に入れられ,中には自分は使ったとこがない,または普段は使わない部品を手にすることもあり,部品に対する見聞が広がります。


遊びとしてのジャンクや,修理としてのジャンクもまた分析です。

修理についていえば,壊れている個所を探し,原因を考え,原因を取り除いたうえで故障した部品を交換します。

これは,電子回路を作ったもののうまく動かかなかった時に対処する力を付けるのに役立ちます。

動かない原因を突き止め,原因を取り除かないと電子回路はうまく動いてくれません。

その力を養うために修理というのは役に立ちます。


更には思いもよらない部品や構造に出会うことがあります。

例えば,ボリュームを電動にしようとしたらどうでしょう?

電動ボリュームという部品があるため,それを使えば解決します。

しかし,中にはギアの歯を切ったシャフトがボリュームに取り付けられており,モーターをそのわきに取り付けてあるといった,電動ボリュームを自前で作っている機器もあります。

製造年からして当時は電動ボリュームがなかったようで,自分たちで作ったようす。

そんな構造に出会うこともあり,これまた見聞が広がります。


このように,ジャンクいじりというのは電子工作の力をつけるのに有効なシーンが結構多いと思っています。

かく言う私も,ごみとして捨ててしまう機械を分解して部品を手に入れたり,構造を勉強したり,修理できそうであれば修理しながら電子機器を覚え,作ってきました。

そういった経験からも,ジャンク弄りというのは電子工作をしていくうえで有効だと思います。


捨てればごみ,分解すれば勉強と部品,「ガラクタ弄り」を電子工作の一部にいかがですか?

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